ミュージカルナンバーズ「Voice」

作詞 和泉さな 作曲 松本麻衣

M1「The Beginning Of The Show

♪The Beginning of the Show
♪ 衣装に着替えて鏡の前でポーズ
♪ The Beginning of the Show
♪ 信じているこの体、最高のプレイヤー
♪ 声を響かせて
♪ ステップも軽やかに
♪ みんなで作ろう(作ろうよ)
♪ ひとりじゃできない 見えない世界 見えてくる!

♪ 伝えたい物語が
♪ 輝いてあふれてる いま

♪ 過去と未来をつなげるステージ 両手広げて 届けよう
♪ The Beginning of the Show
♪ The Beginning of the Show
♪ The Beginning of the Show 


M2「陳情係の白井です」

白井 「時は1914年。時代は明治から大正へと、封建制度から民主主義へ。人々が自由に発言し女性の社会進出も始まるなど、まさに慌ただしくもエネルギッシュな時代!大正デモクラシーってやつです。そしてここ御幸村も例外なくこのありさま。え?何を揉めてるのかって?時代は農業から工業へと発展していました。畑は工場へ変わり次々と新しい企業が参入、時代の大きな波が押し寄せていたんです。しかし建てたはいいが工場排水やら煙による汚染はほったらかし!被害を被るのは地元の農家や漁業の皆さんということで」

♪(農民)ちょっと聞いてよ!どういうことなの?うちの野菜が薬品まみれ!
♪(漁師)ちょっと聞いてよ!どういうことなの?海苔に汚水がべったりと!
♪(農・漁)どうしてくれるの 役人さん! 解決してよ 役人さん!

♪(役人)問題だらけの御幸村 苦情が絶えない御幸村
♪(全員)大正ロマンはどこへやら 苦情しかない 御幸村

白井 「とまぁこんな感じ。でも僕は陳情係のベテランです。着任早々、僕の腕の見せ所どころでした。陳情を聞くコツはまず、相手への同意から始まります」

♪(白井)それは大変 お辛いですね お聞きしましょう お悩みを   お話しください お悩みを 陳情係の白井です

♪(白井)それでは、、、
♪(白井)あなたの悩みは生活課 そこのあなたは交通課  まずは用紙にご記入を 陳情係の白井です

♪(農民)農業問題
♪(漁師)漁業問題
♪(子供)教育問題
♪(全員)税金問題

♪(全員)問題だらけの御幸村 苦情が絶えない御幸村
♪(全員)大正ロマンは どこへやら 苦情しかない 御幸村


M3 「天使と悪魔」

悪魔ミミ 「ようやく出番だ!暴れたくてウズウズしてたんだ!がおー!」
天使ララ 「うるさいわね、大声出さないでよ」
悪魔マー 「違う違う。この人が私を喋らせてるんだって」
悪魔ミミ 「叫んでるのはこの人」
白井 「そう、僕だ」
天使ロア 「私たちはこの人の」
天&悪 「心の声なんです!」

白井 「ご紹介します。これが僕の心の世界、こっちが天使でこっちが悪魔。え?多すぎるって?普通の人は一人ずつかも知れませんが僕は普通の人よりたくさん悩むのでこういう結果に。決して市民ミュージカルあるあるではありません」

♪(天&悪)板挟み 困った どうしようジレンマ 選べない そんな時
♪(天&悪)心の奥から聞こえる声に 耳を澄ませて 「で?今日は何を悩んでるって?」

(間奏・白井) 「所長だよ、所長!僕の実家も決して裕福な家じゃなかったからね。だからさっきの所長の言葉には抵抗を感じてしまった。確かにお金があれば引っ越しも出来るだろう。けれど全ての人がそうじゃない。あの子の着物を見たかい?どう見てもそんな余裕があるようには見えなかった。それなのに立ち退きって、どうすりゃいいんだ」

♪(悪魔)理不尽な上司は許せない
♪(天使)長いものには巻かれましょう
♪(悪魔)拳で一発 殴りたい
♪(天使)黙って従えば 昇進よ

(間奏・白井)「思うに役人ほど板挟みな職業はないんじゃないでしょうか。辞めていった先輩が言っていました。役人は究極のサービス業であると」

♪(全員)ああ 税金泥棒言われても 僕だって税金払ってる
♪(全員)ああ 思ったよりも安月給 作り笑顔が戻らない
♪(全員)本音と建て前 使い分け バランスとるのに全力です

(後奏・白井)皆さんにお願いがあります。もし役人に会うことがあったら優しくしてあげてください


M4 「自分だけの色」

志津香 「さあ布を広げて!どんな模様が出来ているかしら?」

♪(志津香)       
心地よい風がほら 川辺へ誘い出す
♪(織江)        
お日様に照らされて 心も踊りだす
♪(あられおはぎ&子供) 
一緒に作った 絞り染め どんな模様ができたかな
♪(志津香&織江)    
不思議でキレイな この世にひとつだけの
♪(全員)        
作ろう(染めよう) 自分だけの色見つけて
♪(全員)        
作ろう(染めよう) この世でひとつだけの宝物


大家さん

♪工場だらけになっちまった村
♪昔からの地味な染め物
♪なんて似合わないんじゃないのかい
♪そんなけんか腰にならずにまあお聞きよ
♪あんたは血の気が多すぎる


M5 「一緒にいるだけで」 

♪(志津香)   
不安な夜も 悲しい朝も 唱えてみるの 大丈夫と
♪(志&織)   
月の灯りは 優しく包む 重なる影は 一つじゃない
♪(うた&サヨ)
心細くて泣きたい時は
♪(志&織&サ)
空を見上げて 星を探そう
♪(全員)   
一緒にいれば 大丈夫 喜び痛みも わけあえる
♪(全員)    
一緒に歩む 仲間がいる 怖くはないよ 傍にいるから


名店 ちょんぼり屋

♪きょうもいつもの蕎麦をうつ
♪きれいなお水で蕎麦をうつ
♪蕎麦屋だけにソバ耳立てれば世間の声に
♪噂 噂 噂 噂 噂話
♪村人も旅人みんな集まる憩いの場
♪ここは名店 ちょんぼり屋


M6 「怒りの御幸村」

♪(全員) 長年 耐え続けた 水害の 被害はますます 広がるばかり
♪(全員) 多摩川を挟んだ 向かい側 東京には立派な堤防
♪(全員) 御幸村には どうして 堤防が ない

議員② 「大体にして公平な判断を下すべき役人がアレですからな」
議員① 「東京に頭のあがらん村役人どもめ、情けない!」

白井 「これって、、、」
二木元 「築堤活動の集会です。僕たちこれを記事にしようと取材しているんです」
白井 「僕はまずいよ。帰る」
三木元 「待ってくださいよ。ご意見を聞きたいんです。東京からきた白井さんなら平等な意見を頂けるんじゃないかって」
W木元 「で、どう思います?」
白井 「どうもこうも今ここに役人がいるってバレたら、つるし上げられちゃうよ!」

♪(秋元) 諸君の誠意をこめた陳情書 むなしくも知事には届かず 我々の生活は 見殺しにされた かくなるうえは

秋元 「我らが本気であることを身をもって示すまで」
議員③ 「どうなさるおつもりで?」
秋元 「集団で県庁へ押しかける!」

♪(議員)お待ちください 集団行動は犯罪です 過激派として警察に 逮捕される危険性が
♪(秋元)残された道はそれしかない 何かを成しえるには 何かを犠牲にする覚悟が 必要なのだ

農民④ 「先生!私はついていきます!捕まるなんて怖くない!俺たちの声を、届けてやるんだ!」
農民⑤ 「そうだ!俺たちが本気だってこと、見せてやろうじゃないか!」

♪(全員)立ちあがれ 今こそ 御幸村を守るため 
♪(全員)立ち上がれ 今こそ 怒りを見せる時
♪(全員)仲間よ 怯むな 拳をあげろ
♪(全員)我らの声を いま あげる時


M7 「神奈川県知事 石原健三」

つる 「(ちょんぼりを渡す)これ、持っていきんさい」
とき 「お守りじゃ」
つるとき 「ナンマイダブ、ナンマイダブ、、、(唱えながら退場)」
二木元 「いやあ、さすがだなあ、白井さん!勇気ありますね!」
白井 「ふたりとも、知ってるの?その石原知事のこと」
三木元 「勿論、取材行きましたもん。鬼の形相で追い返されたけど、あはは」
白井 「どんな人だった?」
w木元 「そうだなぁ、、、」

♪(W木元) 
笑ったところ みたことない いつもむっつり 怒り顔       
お口をへの字に曲げたまま 後ろに手を組み 決め台詞

石原 「それで、何か問題が?」

♪(w木元) 石原健三 冗談嫌い 偏屈親父で堅物で
♪(w木元) 歩いたあとには草木も生えず 機嫌はずっと 悪いまま
♪(w木元) 石原健三 エリート官僚 帝大卒で堅物で
♪(w木元) お口をへの字に曲げたまま 後ろに手を組み 決め台詞

石原 「それで、何か問題が?」


婦人

♪そういえば 聞いた?
♪ 3丁目のご主人 びっくりしたわ 警察に捕まったって
♪ 怖いわね うっかり酒場で政治批判したらしいのよ
♪ それを聞きつけた警察に捕まって即逮捕であらあらまあ
♪ 家族も捕まったみたい 同罪ですって恐ろしいわね
♪ 堤防建設活動の人たちも危ないわね
♪ 秋元先生とかかなり過激な発言されているって聞くけど
♪ そこはお家柄よ
♪ なんと言っても先生は、村会議員ですもの
♪ 少し過激な発言されてもおとがめなしでしょうけど
♪ 問題はそれに踊らされてる おバカなあの人たち
♪ 熱くなりすぎて すっかり身分を忘れてるみたい
♪ 警察だって無能じゃないからすぐに捕まるわよ
♪ 3丁目のご主人みたいに 3丁目のご主人みたいに


M9 「守りたい、変わりたい」

白井 「すいません、、、」
志津香 「白井さんのせいでは」
白井 「自分でも情けないんです、いつも肝心なところで声が出ない。争うのが怖い、断るのが怖い。いつも適当に誤魔化して、そして毎回後悔する、、、もうそんな自分に、本当はうんざりしてるんです」

♪(白井)いつも どこかで感じていた 違うこと わかっていた
♪(白井)正しいことを 捻じ曲げて 気づかない 振りをして

志津香 「私も同じです。どこかで迷ってます。もし失敗して捕まったら、あの子たちは、どうなるんだろうって」

♪(志津香)暗い夜道に 疲れた私 遠くに見える ともしび
♪(志津香)誰かの帰りを 待っている 暖かいあの ともしび

志津香 「生活が苦しくてこの先どうしようって思いながら真っ暗な道を帰っていると、どんなに夜遅くても、灯りを付けて待っていてくれるんです、あの子達。真っ暗な中にポツンと。それだけで私、救われているんです」

♪(志津香)どんなに無謀で かなわない夢でも
♪(白井)自分を信じる ことすら出来ず
♪(志津香)守るべき人のためなら
♪(白井)それでも 諦めたくはない
♪(志津香)守りたい ♪(白井)変わりたい
♪(志津香)愛する家族を ♪(白井)今なら出来る
♪(二人)心の声に 耳を傾けて


M10 「多摩川の景色」

貴子 「私ここが好きなの。お母さま知ってる?多摩川はね、季節によって景色がどんどん変わるのよ」

♪(貴子) 春に咲く菜の花 夏には蛍 秋のコスモス 冬は
♪(貴&サ) マガモの親子

貴子 「可愛いよね」
サヨ 「また一緒に見ようね」

♪(貴&サ) 忘れないよ キラキラな水面 忘れないよ 頬を撫でる風
♪(貴&サ) 一緒だと嬉しいね ずっと一緒にいようね

♪(子供全員) 歌って 遊んだ この多摩川を ずっと いつまで


M11 「白井の決意」

悪魔ムー 「役人としての仕事を全うするの」
天使リリー 「与えられた指示通りに動くのよ」
悪魔ミミ 「例えそれが間違っていても?」
悪魔全 「自分のせいじゃないわ」

悪魔メメ 「いまの自分に出来ること」
天使ロア 「波風立てずに待つだけ。そして」
天使レイ 「いつも通りに出勤していつも通りに仕事をする」
天使ララ 「ずっとそうやってやり過ごしてきた」
天&悪 「でも今は違う!」

悪魔全 「よく考えろ」
天使全 「よく考えて」
天&悪 「今の自分にできることを」

秋元 「白井さん!」
白井 「皆さん、止まってください!」
農民③ 「どけ!無能役人め!」
農民⑤① 「そうだ!止めても無駄だ!」
農民④ 「俺たちは覚悟を決めてきているんだ!邪魔だ、どけ!」
白井 「どきません!」
志津香 「白井さん!」
農民① 「どかないなら力づくで倒すぞ!」
議員③ 「先生!無視して、あっちの道にいきましょう!(道を変えようとする)」
白井 「そっちは警官隊が待機しています!」
農民全 「(驚いて)何だって?」
白井 「僕が案内します、皆さんを県庁までお連れします!僕は、御幸村の陳情係です!」

♪(白井) もう迷わない 心の赴くまま(前へ 前へ)
♪(白井) 目の前にあるのは 自分の壁だけ(進め 進め)
♪(白&秋)突き破れ 怯まず進め 平和な未来を 掴むため
♪(全員) 拳をあげて 地面踏みしめて 我らの声を上げる時


M13 「多摩川の桜」

♪(全員)今 目の前にある まっすぐな道は 
      今も 昔も 変わらない 誰かの思い出
♪(全員)沈む夕日に 昇る朝日 奇跡は起こる 何度でも
♪(全員)踏みしめた 大地は 未来への希望
♪(全員)悲しみはいつしか 明日への礎

天使レイ 「あれ、陳情係がいない?志津香さんも?」
悪魔マー 「実はあの後二人」
天&悪 「こうなったんです!」

♪(全員)踏みしめた 大地は 未来への希望
♪(全員)悲しみはいつしか 明日への架け橋へ


M15「Voice」

♪一日働いて 明日も働く 問題は山積み まだまだ終わらない
♪聞こえるか この声
♪内から外からも
♪自由を目指して 暴れだしているよ

♪Voice! 無視しないでよ
♪Voice! 聞こえているでしょ
♪Voice! 一人の声が
♪Voice! 世界を救う

♪つらくなったら逃げてもいいけど
♪自分変わらなければ、見える景色は同じさ
♪しぼんだ勇気、熱く膨らませ
♪言ってやれ最後に 奇跡は起こるから

♪Voice! 無視しないでよ
♪Voice! 聞こえているでしょ
♪Voice! あなたを救う
♪Voice! 心の声さ

♪大丈夫 必ず最後に 助けてくれる 人がいるよ

♪Voice! 無視しないでよ
♪Voice! 聞こえているでしょ
♪Voice! 一人の声が
♪Voice! 世界を救う
♪Voice! 無視しないでよ
♪Voice! 聞こえているでしょ
♪Voice! あなたを救う
♪Voice! 心の声さ